Interview vol.11-01 あなたはあなたのままでいい

-インドの施設での経験とは、どんなものだったんですか?

大学卒業後、インドのムンバイに行ってマザーテレサの研究していました。インドではまず8歳10歳ぐらいのネパールやインドの北部から売られてきた、売春をさせられている子どもたちの更生プラグラムに関わったのね。街にいる売春をしている子供たちを強制的に隔離して、施設で刺繍を教えたりタイピングを教えたり、売春は良くないことと教える。プログラムを通して彼女たちを社会に戻す素晴らしい活動でした。

でも、実際は社会に戻しても元々身寄りがないわけだし。タイプや刺繍ができるぐらいで、生活はできない。その子達はまた売春に戻っていっちゃうの。売春に戻ったときに、プログラムで「社会にとって売春っていうのは最悪なことで、あなたその最悪なことに手を染めて、そこからは脱却しなければいけないんですよ」と言うのをひたすら教えるから、罪悪感だけを植え付けて社会に出すことにつながるといことがわかっていって。

考えたら8歳10歳で売春やって、売春が悪いことだって知らずにご飯が美味しいって食べていた2年前の方が、幸せかも知れないんだよね。そうなると“いままで考えていた正しいこと”が人を幸せにするという構図が崩れて、どうしていいかわからなくなるよね。

―“正しい”と思う価値観が通用しない、のですね。

そう。日本で生まれた私たちって、生まれてきてから、究極の状況にはさらされずに自分の価値観だけで生きていて。ぬるま湯的な所で育ってきている。今まで誰と議論しても正しいことは正しいって合致する社会で生きてきたけど、そこでは解決できない。そうゆう光景の中を毎日毎日見ていると、じゃ、社会福祉ってなんだろうと思った。それって西洋の価値観とか自分の持っている価値観をこの人たちは不幸だからそれを幸せにしてあげましょう、という風にやっている活動。

で、そもそも価値観って何なんだろうって思って考えたら、なんにもやれなくなっちゃって。ある意味、食べていくって意味まで下げると幸せなわけだよね。そう考えると全ての価値観が崩壊してしまいした。このフィールドワークで何を得たか、それは英語の能力でも社会福祉の知識でもなんでもなくて。「あなたが今そこに頭の中に持っている善悪だとか美しいものとか美しくないものとか、価値観って何も通用しないんだな」っていうのを見て感じたの。その2年間をただ挫折で帰ってきたことが、結果的に一番の宝物になっていますよね。

―大学卒業後だと、24、5歳ぐらいの時ですよね?一番の宝物であるインドでの体験は、今にどのように影響しているんでしょうか?

その時の経験があるから、そもそも人が私を解ってくれるなんて思わず付き合うのね。自分はこう思ってるけど、“あなたは?”っていう時に反対意見が出てきても何ら揺らがない。そりゃ違うよねって。わかってくれると思って頑張ると大変なんだけど、“わかるわけないじゃん”から始まると、よくわかってくれる!”って思える(笑)。

“娘ともこういう話をよくするんだけど、彼女はいつも「クラスの誰も私の考えわかってくれる人がいない、いない」て言うんだけど。「わかるわけないし、いつかわかってくれる人は人生の中で現れる。今12歳なんだし、ママ48歳だよね?ママだって最近なんだから、まだまだだねってね(笑)」話すの。

たとえばさ、私は子供を産んで子育て大好きだけど、子供がいらないって思う人もいるよね。それに、一夫一婦制が必ずしもいいとは思ってもないのね。今の日本で生きていて、夫も素晴らしい人だし結婚はしているんだけど、もしも今実際結婚するとしたら結婚って制度は取らないかも。たまたま20年前はそれをとったほうがわかりやすかったし、子どもも産みやすかったからそうしてるだけで。夫がいないまま産んでいる人もいる。そういう選択している人は私の周りはいっぱいいるし、それぐらい恋愛観も結婚観も家族もみんな違っていていい。自分がいいと思えるなら。

いすみに遊びにいってきました!Vol.2 ~自然農園「ダグとワラ」稲熊さん一家の暮らし~

さっそく畑や田んぼを案内してもらって、びっくり! 田んぼや畑の広いこと広いこと。朝、点検するだけで2~3キロ歩くそうです。育てている作物は、米、小豆、大豆、黒豆、大根、牛蒡、人参、オクラ、ズッキーニ、トマト、バジル、落花生、紫蘇、里芋、生姜、サツマイモ、ニラ…と多種に渡り、なかにはパイナップルも。互いに相性のいい苗を隣に育てていったら、きこうなったのだといいます。

ちょうど訪ねた日の翌日に、近所の“山神神社”でお祭りがあるということで、一緒にお供えものに使う野菜を収穫しました。

「農業をしていると、どうしても動物や虫を駆除、殺生しなきゃいけないことがある。神社で神主さんにお祓いをしてもらい、供養し感謝することが大切」と教えてくれました。そう真面目な話をしている間も空ちゃん、里ちゃんがお父さんの周りを離れません。ちょっと離れて野菜を取ってきたと思ったら、実さんに向かって「取ったよー!」と2人共嬉しそうな顔。実さんは「うん、上手だね」と優しく微笑む。

せっかく実ってきた作物が、害虫や動物の被害で、1日にして農作物が駄目になってしまうこともあるのだとか。

生活のほとんどの時間を自給に使う暮らしは大変そうに思えますが、自分の手で愛情をもって育てた野菜で、その愛情を感じて“子どもたちが育つ”。それは農作業の厳しさの中にも、自然の力を受け止めながらの農作業の厳しさの中にも、感謝と喜びがありそう。